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第11回 【小関順二のドラフト指名予想】広島東洋カープ「黒田博樹の引退で投手補強が急務に!」2016年10月19日
広島東洋カープ 今季戦績
143試合 89勝52敗2分 勝率.631 セ・リーグ1位
野手は充実 投手指名が急務に!

黒田 博樹(広島東洋カープ)
■課題
野手は手薄なポジションを探すのが大変だ。来年40歳になる新井 貴浩の衰えに備えて一塁、レギュラーが確定されていない捕手と三塁手が補強ポイントになるが、それより急を要するのは投手の方。先発の両輪、ジョンソン(来季33歳)、野村 祐輔(28歳)以外は、黒田 博樹(42歳)の現役引退が決まり、福井 優也、大瀬良 大地、岡田 明丈、戸田 隆矢も安定しない。若手はどうかというと、そのほとんどがファームで被安打がイニング数を超えている。私が考える「期待の若手」で楽しみな塹江 敦哉は73.1回投げて被安打85、与四死球41、奪三振53とやはり芳しくない。
チームは98~12年までの15年間、Bクラスを低迷したことで、統一ドラフトになった08年以降は即戦力指向が強かった。この8年間、高校生投手を上位で指名したのは中田 廉(08年2位)と今村 猛(09年1位)の2人だけ。この間に今村をはじめ福井、野村、大瀬良、岡田たちを上位指名で獲得したが、数年先の中心投手と言える選手を獲得していない(抑えの中崎 翔太は10年の6位)。ずばり、課題は高校生投手だ。
■過去の指名選手の状況
80~90年代までは今より上位で投手を指名する傾向が強かったため、野手は4~6位で指名された選手が大活躍した。広島では江藤 智(88年5位)、金本 知憲(91年4位)、前田 智徳(89年4位)、新井貴(98年6位)という選手たちだ。それが最近は野手への注目度が増したのか、1~3位指名選手が活躍するようになった。栗原 健太(99年3位)、廣瀬 純(00年2位)、菊池 涼介(11年2位)、鈴木 誠也(12年2位)、田中 広輔(13年3位)たちで、かつてのお家芸だった「4位以下からその後の中心打者を育てる」ことは難しくなった。事実、広島では4位以下から中心打者が育っていない(丸は07年高校生ドラフトの3巡目。1巡目安部 友裕に次いで指名されている)。
■どんな選手を1位で指名するべきなのか
以上のことから緊急課題は若手投手だが、次代の中心野手もバランスよく獲らなければならないことがわかる。1位入札は今井 達也(作新学院)を本線に藤平 尚真(横浜)、寺島 成輝(履正社)、堀 瑞輝(広島新庄)、髙田 萌生(創志学園)まで含めて考えたい。黒田の去就が不明なので、いなくなった場合のことを考え社会人ナンバーワンの山岡 泰輔(東京ガス)が最重要とも考えたが、本当の強さが訪れるのは3年以上先になると思うので、そのときに備えるのが賢明。野手は捕手が補強ポイント。3位で残っていれば迷わず九鬼 隆平(秀岳館)、古賀 優大(明徳義塾)に向かいたい。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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