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第8回 【小関順二のドラフト指名予想】千葉ロッテマリーンズ「今回のドラフトで太い柱となる選手を指名できるか?」2016年10月18日
千葉ロッテマリーンズ 今季戦績
143試合 72勝68敗3分 勝率.514 パ・リーグ3位
伊東監督の若手抜擢に、球団も応えてきた

香月 一也(千葉ロッテマリーンズ)
■課題
2年連続3位、過去10年でAクラス5回(日本一1回)を見れば強さが安定していることがわかるが、チーム打率は伊東 勤監督が就任した過去4年、3位→5位→4位→5位、チーム防御率は6位→6位→5位→3位と安定していない。チーム順位が3位→4位→3位→3位と安定しているのに不思議だ。益田 直也が13年に33セーブを挙げ最多セーブ、14年以降はこの益田が中継ぎ、抑えに西野 勇士が回り、16年は西野の故障で途中から益田が抑えに入るという具合に、常にスペアが用意されていることが大きい。
攻撃面では捕手・田村 龍弘、遊撃・鈴木 大地と、外野の3ポジションが角中 勝也、清田 育宏と過去2年間安定しているのが強み。その反面、一塁は来年43歳になる井口 資仁に多くを期待できず、二塁ナバーロの去就が不透明、ポイントゲッターのデスパイネも2年契約を終え、来季の契約が不明瞭なことが不安要素だ。
■過去の指名選手の状況
常に来年1年だけを睨んだ指名を繰り返してきた。統一ドラフトになった08年以降の7年間、高校生の1、2位指名は1人もいない。全体の指名でさえこの間、高校生は山本 徹矢(08年5位)、大嶺 翔太(09年3位)、江村 直也(10年5位)、田村 龍弘(12年3位)、二木 康太(13年6位)、岩下 大輝(14年3位)、香月 一也(14年5位)、脇本 直人(14年7位)しかいない(育成ドラフトでは7人指名し、その中に西野 勇士がいる)。それが昨年は高校生野手の平沢 大河を1位で獲得、3、5位も高校生だった。
この変身の陰には伊東監督への配慮があると思う。伊東監督の最大の長所に若手の抜擢が挙げられる。田村の捕手固定、中村 奨吾の積極的な起用、さらに投手では二木の台頭を後押ししたのも伊東采配である。この伊東監督にさらに有望な若手を託してみたい、そんなフロントの思いが平沢の1位に表れていると思う。
■太い柱になる可能性を秘めている田中正義、佐々木千隼を指名するべき!
投打のどちらかというと投手陣の方に弱さがあるので今年の1、2位は投手が有力。石川 歩、涌井 秀章の2本柱、3番手以降では唐川 侑己に復活の気配があり、新人の関谷 亮太、若手の二木も頑張った。しかし、3番手以降に大きな伸びしろが感じられず、そもそも先発の頭数が少ない。まず1本の太い柱、それが確保できてから3番手以降の候補に目配りするべき。
1位入札で太い柱になる可能性を秘めているのは田中 正義(創価大)、佐々木 千隼(桜美林大)の2人。右肩の炎症で田中の評価が下がっているが、秋のリーグ戦は8試合に登板し、4勝0敗と結果を残している。肩が完全に戻ったときの存在感の大きさも他の候補者と比較できない。ここはくじ運など考えず、田中の入札で行くべきだろう。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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