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第6回 【小関順二のドラフト指名予想】埼玉西武ライオンズ編 「西武黎明期の根本流を再現するには?」2016年10月17日
【目次】
[1] 現在の西武は危機的な状況
[2] 現在、空位になっているショートの補強も急務!
■過去の指名選手の状況
00~04年までに指名した野手が伊東 勤、渡辺 久信監督時代の中心を形成したことは間違いない。中島 宏之(00年)、細川 亨、中村 剛也、栗山 巧(ともに01年)、G.G.佐藤(03年)、片岡 治大(04年)たちだ。
それ以降は炭谷 銀仁朗(05年)、浅村 栄斗(08年)、秋山 翔吾(10年)、金子 侑司(12年)、森 友哉、山川 穂高(ともに13年)と断続的にレギュラークラスが輩出されているが、00~04年組のような迫力はない。08~15年のドラフトでは1、2位の上位指名16人のうち投手13人、野手3人と投高打低状態になっている。00~04年はというと、上位指名10人のうち投手5人、野手5人と好バランスだった。
この状況を一言でいえば、スカウト陣が守りに入っている。西武がドラフトに参画した1978年から10年間を見ると、1、2位で指名した野手は鴻野 淳基、石毛 宏典、岡村 隆則、伊東 勤、金森 栄治、笘篠 誠治、辻 発彦、大久保 博元、田邊 徳雄、清原 和博、山野 和明、中村 日出夫、鈴木 健、上田 浩明と、実に14人を数える。
広岡、森 祇晶という希代の“守り型”の監督を据えながら、補強の中心を担ったのは野手だった。この根本 陸夫によってもたらされたチーム作りの教えは現在、西武よりソフトバンクに引き継がれているように見える。
■どんな選手を1位で指名するべきなのか

吉川 尚輝(中京学院大)
今年は投手に逸材が揃っているので1、2位は当然、投手ということになるが、西武の泣き所は投手以外にもある。
その1つが中島 宏之の移籍後、“空位”になっているショート。在籍している選手では呉 念庭、永江 恭平がレギュラー候補だが、ともに帯に短し襷に長し状態。このポジションに吉川 尚輝(中京学院大中京)、京田 陽太(日本大)というドラフト上位候補がいる。
他球団は投手の上位指名が決定的なのだから、2位枠でもいいので、この逸材のうち1人に向かってほしい。現在のレギュラークラスを見ると、ドラフト上位指名を受けて入団したのは10年以上前の炭谷、中村剛と、半レギュラーの森しかいない。ドラフトで黄金時代を築いた西武とは思えないアンバランスだ。そろそろ西武黎明期の根本流を再現してほしい。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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