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- 【小関順二のドラフト指名予想】阪神タイガース編 「若手が育つ球団になるには今季もスケール重視でいくべき!」
第5回 【小関順二のドラフト指名予想】阪神タイガース編 「若手が育つ球団になるには今季もスケール重視でいくべき!」2016年10月15日
【目次】
[1] 超変革の流れを止めるな!
[2] 田中正義の競合に逃げないこと
阪神タイガース 今季戦績
143試合 64勝76敗3分 勝率.457 パ・リーグ4位
超変革の流れを止めるな!

北條 史也(阪神タイガース)
■課題
今年のチームのキャッチフレーズは「超変革!」。2016年1月5日付けの毎日新聞に「ドラフトですぐに使える便利屋のような選手を多く取る球団の体質が、生え抜きが育たない要因。盗塁王、4番打者、エースになれる選手を取ろうとフロントに言っている」という金本 知憲新監督のインタビュー記事が掲載された。何という真っ正直な言葉。成績が悪かったらどんな逆襲を受けるのか心配になったほどだ。
「生え抜きを育てる」という宣言は、これまで実績のなかった北條 史也(4年目22歳・遊撃手など)が122試合に出場して打率.273(安打105)、開幕前は育成選手だった原口 文仁(7年目24歳・捕手など)が支配下登録後、107試合に出場して打率.299(安打95)、ホームランを11本放つなど一定の成果を挙げている。新人の抜擢にも熱心で、ドラフト1位の髙山 俊(外野手)は134試合に出場、新人の球団記録となる136安打を放って打率.275、坂本 誠志郎は28試合、板山 祐太郎は40試合に出場して存在感をアピールした。
これほど若手の抜擢が成功しても、チーム成績が4位では「超変革!」の機運は殺がれる。最近のスポーツ紙には下位で指名する隠し玉2人が記事になり、育成枠で大量指名する計画も披露されている。ドラフトの最重要ポイントはどんな選手を1、2位の上位で指名するのかにあり、下位指名はそれほど重要ではない。重要なのはチームを変える可能性のある大物へのアタック、そこに立ち向かえないチーム内の空気こそ変えてほしい。
■過去の指名選手の状況
2001年以降の15年間で成功したドラフト経由の生え抜きは安藤 優也、久保田 智之、鳥谷 敬、能見 篤史、大和、岩田 稔、渡辺 亮、藤浪 晋太郎の8人しかおらず、点を甘くしても上本 博紀、北條、岩貞 祐太、髙山 俊の12人しか“成功選手”に入ってこない。またその顔ぶれも、鳥谷、藤浪以外は小粒で、日本ハムやソフトバンクとくらべると雲泥の差がある。

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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