第1回 【小関順二のドラフト指名予想】中日ドラゴンズ編 「即戦力投手の誘惑を断ち切ることができるか?」2016年10月08日

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【目次】
[1] 将来性と即戦力のバランスが取れるか?
[2] 上位指名で指名するべき野手は??

中日ドラゴンズ 今季戦績

 143試合 58勝82敗3分 勝率.414 セ・リーグ6位

将来性と即戦力のバランスが取れるか?

東海大甲府時代の高橋 周平

■課題

 2016年度のチーム成績は投手も野手も悪かった。防御率(3.65)4位、打率(.2451)5位で、投打ともに補強が必要なポジションだとわかる。

 今年の野手のレギュラークラス、準レギュラークラスの20歳台は杉山 翔大(捕手・25歳)、福田 永将(一塁手・28歳)、亀澤恭平(二塁手・28歳)、高橋 周平(三塁手・22歳)、堂上 直倫(遊撃手・28歳)、平田 良介(28歳)くらいで、20歳台と言っても30歳に近い選手が多い。彼らを脅かす若手・中堅で目立つのはシーズン後半に出てきた外野手の友永 翔太(25歳)、井領 雅貴(27歳)だが、いずれも若手とは言えない年齢である。高校生を極端に排除したドラフトを数年続けたことがこういう結果を招いたことをフロント上層部は知るべきである。

 投手も似た状況にあるが、高校卒のドラフト1位小笠原 道大(2勝6敗)が一軍戦力になったことが救いである。また、左右エースの大野 雄大28歳(7勝10敗)、若松 駿太21歳(7勝8敗)が年齢的に若く、今季58勝中(82敗)、20歳台が挙げた勝利数は38勝。つまり勝利の66パーセントは若手・中堅によって挙げられている。

 この状況を見れば最大の補強ポイントは野手になるはず。外野手の平田、大島 洋平が今オフ、FA権を行使しての移籍が現実的なのでなおさらである。しかし、今年の有力候補の多くが投手という難しい問題がある。こういうときに必要になるのが“バランス思考”。チーム力が低下しているから即戦力、野球は守りが7割だから投手優先、これは下位球団が必ず陥る「即戦力投手の誘惑」である。それを断ち切って投打のバランス、即戦力と将来性のバランスを図ることが重要である。

■過去の指名選手の状況

 2011~15年までの過去5年で戦力になったのは高橋 周平(11年1位)、田島 慎二(11年3位)、福谷 浩司(12年1位)、杉山 翔大(12年4位)、若松 駿太(12年7位)、又吉 克樹(13年2位)、祖父江 大輔(13年5位)、小笠原(15年1位)の8人。まあまあの数だが、「主戦」と言えるのは田島くらいで、全体にかなり小粒。

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
  • 小関順二公式ブログ

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