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- 【小関順二のドラフト指名予想】東京ヤクルトスワローズ編
第10回 【小関順二のドラフト指名予想】東京ヤクルトスワローズ編2015年10月15日
【目次】
[1] 14年ぶりの優勝も、課題の投手力は改善できず
[2] 過去の大成パターンを振り返れば、東海地区の社会人もありか
過去の大成パターンを振り返れば、東海地区の社会人もありか
さて今年の指名である。投手で行くことは間違いないが即戦力か将来性かの判断が難しい。即戦力なら多和田 真三郎(富士大・2013年インタビュー)、熊原 健人(仙台大)、岡田 明丈(大阪商業大)に、神宮球場を舞台に投げてきた今永 昇太(駒澤大・2014年インタビュー)、上原 健太(明治大)あたりが候補になるが、岡田以外は4年になってからの調子がいまひとつ。
高校生投手は夏の甲子園の優勝投手、小笠原 慎之介(東海大相模・U-18 ワールドカップ関連記事)、甲子園後の国際大会で活躍した高橋 純平(県立岐阜商・2015年インタビュー)、表舞台には立っていないが最速152キロのストレートに注目が集まる小澤 怜史(日大三島・2015年インタビュー【前編】 【後編】)までが上位の有力候補。過去7年、4人の高校生を1位で入札しているので、将来性に照準を絞った指名は十分考えられる。

木下 拓哉(トヨタ自動車)
面白いのがエース小川 泰弘の後輩、小松 貴志(創価大)の指名だ。秋のリーグ戦では来年のドラフトの目玉・田中 正義に続いて第2戦の先発をまかされている。上背は174センチと小兵の部類。縦変化のスライダー、カーブを主体にしたコンビネーションに特徴があり、ストレートの毎試合の最速は142キロ程度。1位のスケールはないが3位くらいの実績は十分積み重ねている。
また創価大には来年、田中以外にも池田 隆英、秋元 秀明という150キロを超える速球派が揃っている。先輩の小川と小松を獲得し、来年の小川獲得までパイプを太くして待つという作戦があってもいい。
抽選で負けて社会人を外れ1位で指名するというケースも頭に入れたい。08年以降、中澤(トヨタ自動車)、石山、竹下(ともにヤマハ)と3回あり、彼らが在籍していたのはいずれも東海地区の企業だった。今年の東海地区はというと、近藤 均(王子)、上杉 芳貴(トヨタ自動車)、角屋 龍太(ジェイプロジェクト=名古屋市)、北畑 勇季(三菱自動車岡崎)、山下 大輝(西濃運輸)と即戦力候補が揃い、5人とも上位で指名されてもおかしくない実力者。
思い返せば、武上 四郎(河合楽器)、安田 猛、小田 義人(ともに大昭和製紙)、小川 淳司(河合楽器)、西村 龍次(ヤマハ)、古田 敦也(トヨタ自動車)が東海地区の社会人出身で、武上、小川、古田は監督を務め、安田、小田はフロントで辣腕を振るった。いわば球団にとって最重要と言ってもいい人たちが東海地区の社会人から輩出されているのは偶然ではないと思う。
この6人中、5人が野手なので、東海地区の社会人野手も候補に入れたい。真っ先に名前が挙がるのはアマチュア屈指の好捕手、木下 拓哉(トヨタ自動車)。イニング間の二塁送球が常時1.8秒台という超の字がつく強肩で、即戦力の期待がかかる。さらに河合 完治(トヨタ自動車・二塁手)、大城戸 匠理(Honda鈴鹿・二塁手)もいて、この3人と既に在籍している西浦 直亨は法政大時代のチームメイト。刺激し合って化学反応を起こすかもしれない。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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