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第8回 【小関順二のドラフト指名予想】埼玉西武ライオンズ編2014年10月17日
【目次】
[1] 投手、野手ともに補強が必要だ
[2] ドラフト1位候補に挙がった高橋光成
埼玉西武ライオンズ 今季戦績
144試合 63勝77敗4分 勝率.450 パ・リーグ5位
投手、野手ともに補強が必要だ

上位候補に挙がる山崎福也(明治大)
田辺 徳雄新監督から早速「(ドラフトでは)投手を補強して」と要望が出た。と言ってもチーム防御率3.77(リーグ4位)、チーム打率.248(リーグ6位)をくらべれば打撃のほうが深刻度は深い。
中村 剛也とメヒアが34本でホームラン王を取り、チーム本塁打125は日本ハムの119本を引き離すリーグ1位。それでも打点549得点574とも4位なのだからチャンスメークが機能しなかったという証拠。
投手陣にも同じことが言える。エースの岸 孝之(インタビュー)が13勝4敗、勝率.765で勝率1位のタイトルを取り、牧田 和久(インタビュー【前編】【後編】)が8勝9敗ながら防御率3.74が投手成績9位と善戦している。しかし、セーブ32、ホールド94がリーグ4位でわかるように、ゲームの終盤を担うリリーフ投手に精彩がなかった。
投打とも主力はいいのに、脇を固めるバープレーヤーが人材不足、これが現在の西武が直面している問題である。
まず野手は、センターラインを守れる二遊間が手薄だ。二塁は今季、浅村 栄斗(2013年インタビュー・2014年インタビュー)が88試合守って守備率.983を記録している。前年までの拙守というイメージがなく、堅実にボールを処理する姿が思い浮かぶが、藤田 一也(楽天)、平野 恵一(オリックス)のような軽快にさばいてアウトを取るうまさがない。
三塁も脇谷 亮太、渡辺 直人、浅村が起用され、なかなかレギュラーが固定されなかった。ならば浅村を二塁から三塁に本格的にコンバートして、二塁候補として早大の中村 奨吾を1位で獲得するテはある。中村は春から続く絶不調が秋季リーグの東大戦あたりから持ち直し、本来の強打が蘇ってきた。他球団の1位入札はないと思うので、外れ1位でも獲得が可能だ。
投手陣は先発型左腕が黄金時代を誇った80年代から手薄だった。現在も盤石の先発左腕といえば菊池 雄星(2010年インタビュー・2011年インタビュー・2014年インタビュー)1人だけ。そこで1位候補に浮上してきたのが山崎 福也(明大)(インタビュー【前編】【後編】)だ。
春季リーグ終了時点での通算成績は19勝8敗、防御率1.93という素晴らしさ。それが秋季リーグは10月12日現在、1勝1敗、防御率5.28と低迷している。通算成績は20勝の大台に乗ったが、防御率が2.13と大台割れ。新人に即戦力を求めるか、あるいは3年先の戦力と見るか、フロントは難しい選択を強いられそうだ。

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ
