第9回 極端な「打高投低」の理由とは? 【韓国野球】2014年06月22日

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【目次】
[1]極端な打高投低
[2]驚異のホームラン打者・朴炳鎬
[3]韓国のプロ入りを目指す元広島・申成鉉

韓国のプロ入りを目指す元広島・申成鉉

斗山・宋一秀監督

 韓国では新しい若手投手が出てこないのは悩みの種であるが、今年は、若手選手が特に頑張らなければならない理由がある。それは9月に仁川(インチョン)でアジア競技大会が開催されるからだ。

 韓国ではオリンピックのメダリストとアジア競技大会の優勝者は、兵役が免除される。
しかし、オリンピックでは野球が競技種目から外れており、アジア競技大会が唯一のチャンスである。そのため、韓国代表に選ばれるだけの実績を残す必要がある。

 現在最も注目されている若手は、入団3年目、NCの外野手・羅 成範(ナ・ソンボム)だ。現在打点はトップの53、本塁打は4位の16本、打率は3位の.380と、申し分ない成績だ。

 羅は大学時代、メジャーリーグからスカウトされるほどの速球投手だった。
2009年札幌で開催されたアジア野球選手権や、10年に東京や神奈川で開催された世界大学野球選手権では韓国代表のエースだったが、三振か四球かという荒れた投球だった。登板しない時は、DHとして出場していた。プロ入り後は打者に専念し、素質を開花させた。

 素質といえば、留学した京都国際高校からドラフト4位で広島入りしたものの、素質を開花させることなく昨年戦力外になった申 成鉉(シン・ソンヒョン)は、韓国のプロ野球機構からは独立した球団である高陽(コヤン)に入団した。
韓国では「野神(野球の神)」と呼ばれ、千葉ロッテのコーチ経験もある金 星根(キム・ソングン)監督の下で修行して、韓国のプロ野球入りを目指す。

 また斗山の監督は今年から、近鉄の捕手であった宋 一秀(ソン・イルス/日本名・石山 一秀)が務める。
近鉄時代は梨田 昌孝らの陰に隠れ、下積みが続いたが、その分選手育成の手腕を買われての起用である。

 サムスンコーチの門倉 健など日本人コーチや、KIA監督の宣 銅烈(ソン・ゴンヨル)やサムスンの李 承燁(イ・スンヨプ)のように、日本でプレーした選手や指導者も多数おり、どこか懐かしさの中にも日本では見られない豪快さがある韓国の野球は、今年も注目だ。

(文・大島 裕史)

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