第8回 台湾で注目の若手プレーヤーたち『郭 修延・賴 鴻誠』 【台湾野球シリーズ】2014年01月10日

一度は諦めかけた夢を追い、アマチュアチームからプロ入り、プロ1年目である昨シーズンに新人王を獲得した郭修延(カク シュウエン・Lamigoモンキース)。そして、2012年にプロ野球入りしてから常に先発、中継の両方を任され、プロ生活2年目の2013年シーズンを、9試合先発登板、19試合の中継登板、結果4勝6敗1セーブ、2ホールド、防御率5.53で終えた賴鴻誠(ライ コウセイ・義大ライノズ)。2人の若手選手にスポットを当てたい。
【目次】
[1]新人王を獲得した郭 修延(カク シュウエン・Lamigoモンキース)
[2]先発・中継ぎとフル回転した賴 鴻誠(ライ コウセイ・義大ライノズ)
[3]ウインターリーグの日本戦でフォームを修正し7回無失点
新人王を獲得した郭 修延(カク シュウエン・Lamigoモンキース)
野球一筋だった郭 修延は、元読売・姜建銘選手らが卒業した台北市強恕高校野球部を卒業した後、強豪老舗アマチュアチーム台湾電力棒球隊へ入った。しかし、2年プレーした後に突然グラウンドから姿を消す。
5年後、再び野球界に戻ってきた郭 修延は、アマチュアチームの新北市成棒隊へ。2012年末、ドラフト4巡目でLamigoモンキースの指名を受け、プロ野球入り。そして、プロ1年目である昨シーズンは新人王を獲得するまでに至った。ここでは、そんな一度は諦めかけた夢を追い続け、同世代の若者たちの励みにもなっている彼にスポットを当てたい。
昨年、Lamigoモンキース(本拠地:桃園)に入団した郭 修延は、7月中旬に交通事故により出場できなくなった林 智勝に代わって出場するようになってから、守備に打撃に、存分に自分の持ち味を発揮。2013年シーズンを通し、一軍で60試合、70安打、1ホームラン、26打点、打率0.314の成績を残し、新人王を獲得するに至った。

郭修延選手(Lamigoモンキース)
プロ1年目にして早速、好成績を残し、シーズンを終えた郭 修延だが、これまでの道のりは決して平坦ではなかった。初めてチャイニーズタイペイのユニフォームを着る機会が訪れた強恕高校時代、代表に選抜されたものの、本人のあずかり知らぬところで討論があり、最後は代表チームから外されることになる。これに対して非常に失望した。卒業後は強豪老舗アマチュアチームの台湾電力棒球隊に入り、2年間プレーをする。
しかし、既に心は野球にあらず。兵役に行くことを決意し、グラウンドを後にする。この時、野球から遠ざかりたかったにも関わらず、まさか再びグラウンドに戻ってくるとは本人も思いもよらなかった。
兵役で得たものを聞かれ、
「以前の自分には忍耐がかけていて、また、落ち着きがなかった。しかし、兵役の期間中、海軍陸戦隊で忍耐力を磨くことができたのが、自分にとって最大の収穫だった」と答えている。
家族や、弟であり現在、Lamigoモンキースのチームメイトである郭永維からの「野球ができるってことは幸せなんだよ。簡単に諦めないで」という言葉を受け、再びグラウンドに舞い戻った。
2012年、新北市棒球隊に加わり、野球界に復帰を果たしたものの、初めは練習生からで、月給はたったの6千元(約2万円)だった。しかし、入団2ヶ月後には少しずつ本領を発揮。バッティング技術が向上し、ホームランを打つまでに至った。この時、監督である謝長亨(後の2013年WBCチャイニーズタイペイ監督)の目に留まり、また、ちょうど1名の選手退団に前後して次第に頭角を現すようになった。
「新北市棒球隊に入る前、また野球をしたいという気持ちが沸き起こってきても、自分自身が準備不足だったので、家族には漏らしたくなかった」
と、野球界に復帰するか葛藤していた当時を振り返る。新北市棒球隊での1年間、不断の努力を重ねて野球から離れていた3年間の空白を埋めようと頑張った。そして、「郭修延がショートを守ったら、チームは大いに安心できる」と、謝長亨監督が認めるまでに成長した。
新北市棒球隊での1シーズンが終わった年の冬、プロ野球ドラフトに参加することを決意し、「活躍する機会が無限大にある」と、興農ブルズ(現義大ライノス)に入団することを希望した。しかしながら、興農ブルズは、義大ライノスに身売りすることが決まり、結果的に4巡目に内野手で溢れているLamigoモンキースの指名を受け、入団した。
初めのころは一軍での出場機会に恵まれなかったが、7月中旬に林智勝が交通事故により出場できなくなってからは、目の前のチャンスをものにして、常時一軍でショートを守るようになった。
「毎試合、悔いのないようプレーをしている」と語っている。
紆余曲折を経た郭 修延の野球道であるが、
「もし、自分の生き方が若者たちの励みとなるなら非常に嬉しい。しかし、自分はまだまだ進歩することができるし、プロ野球で学びきれないほど学ぶことがある」
プロ野球で頑張る決意を胸に、来年はより素晴らしいプレーを魅せてくれるだろう。
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