第7回 台湾野球の歴史を知る 【台湾野球シリーズ】2013年12月06日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]台湾野球のスタートは1895年
[2]海外志向が強い台湾野球人の背景
[3]国際大会増加で野球人気が復活

国際大会増加で野球人気が復活

 競技力向上、人気復活のためCPBLの黄鎮台(ファン・ジェンタイ)コミッショナーは、ここ数年開催がなかった台湾東部・花蓮棒球場での試合を設定。日本の野球でいえば、地方開催を増やし、ファン拡大を狙う試みである。

 競技力向上のために昨年から若手中心のアジア・ウインターベースボールリーグを開催し、若手選手の育成を強化を行っている。今年は台湾を含め、日本・ドミニカ・韓国の4チームで開催。11月23日から開幕したウインターリーグは12月21日まで行われる大規模なウインターリーグだ。驚きなのは、CPBLのYoutubeのアカウントではウインターリーグの試合模様がアップロードされていること。ドミニカはメジャーを目指し、そしてアジアの3チームは将来一軍で活躍することを夢見て、白熱したプレーを見せてくれている。同じアジア同士と切磋琢磨することで、スキルを伸ばす狙いだ。 

台湾プロ野球を代表する強豪チーム・兄弟エレファンツ

 そして人気度を測る観客動員数だが、今年は大幅に観客動員の増加が見られるようになった。今年のWBCの選手たちの健闘により観客が増えてWBC効果を発揮。さらに今年は、レッドソックスで活躍したマニー・ラミレスが義大ライノズに加入。ラミレスによって観客動員数は大きく向上し、6月30日までの全120試合で1試合平均7180人を記録。過去最高は1992年に記録した7305人に迫る記録となった。そして開幕148試合目で最速で観客動員100万人を達成、オールスターの観客動員数も過去最多の1万8181人を記録し、台湾プロ野球は大きく活気を取り戻している。

 また今年の侍ジャパンとの3試合は台湾の球場は2万人収容だが、1万人を超えた。台湾は1万人で入ることはなかなかなく、開幕戦、優勝決定戦、台湾シリーズぐらいのもので、国際大会の恩恵を大きく受けた1年であった。

 今年観客動員数が増加したように台湾人は国際大会が好きである。あまりプロ野球は見ないが、国際大会は必ず見る。日本でいえば、Jリーグをあまり見ないが、国際試合は必ず見て、勝利すれば熱狂するサッカーファンのようである。だから主催する連盟は積極的に誘致するのだ。

 台湾は野球好きな政治家がいるのが心強い。台中の市長である胡志強(こしきょう)氏は野球が大好きな方で、18U世界選手権、アジアシリーズ、ウインターリーグの誘致へ向けて、補助も積極的に行っている。国際大会で収益を高め、さらに台湾プロ野球の認知度を高めていこうと努力をしている。

 もちろん国際大会だけではなく、ファンサービスでも強化を行っている。今年、一番話題になったファンサービスは、Lamigoモンキーズの応援が挙げられる。
今までは太鼓とトランペット、マイクで応援していた台湾野球。マイクを使って応援する姿は日本の都市対抗野球に似たスタイルだ。モンキーズがその応援スタイルを変えるきっかけとなったのは昨年、Lamigoが釜山でのアジアシリーズに進出した際のことである。球団GMが釜山ロッテの応援に魅了されて以来、韓国・日本・台湾式応援を融合した応援スタイルを考えた。

 今年からLamigoホームの桃園棒球場ではDJを用いた新しいスタイルの応援が始まり、ベンチ上のスタンドで、チアガールがパフォーマンスを披露。革新的な応援スタイルに魅了されたファンが球場に詰めかけている。革新的な応援スタイルは新聞、テレビ、野球雑誌などでも取り上げられるほどになっている。またモンキーズは球場内の飲食店を増やし、飲食のサービスの増加も図っている。
野球賭博により一時は台湾野球は大きく影を落とした時期はあったが、近年の国際大会の増加とファンサービスの強化により、台湾野球は少しずつ光が見えてきている。来年25年目を迎え、より発展させるためには大きな1年になることは間違いない。


(記事構成=河嶋 宗一
(情報提供=礒江 厚綺)

>このページのトップへ


【関連記事】
第11回 【小関順二のドラフト指名予想】北海道日本ハムファイターズ編【プロ12球団ドラフト分析2015】
第4回 陽 岱鋼選手、大引 啓次選手から稲葉選手へのメッセージ【インタビュー】
第8回 台湾で注目の若手プレーヤーたち『郭 修延・賴 鴻誠』 【台湾野球シリーズ】【アジア野球】

コメントを投稿する

コラム