第7回 台湾野球の歴史を知る 【台湾野球シリーズ】2013年12月06日

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【目次】
[1]台湾野球のスタートは1895年
[2]海外志向が強い台湾野球人の背景
[3]国際大会増加で野球人気が復活

海外志向が強い台湾野球人の背景

台中インターコンチネンタル野球場

 台湾の選手で特徴的なのは、海外挑戦する選手が多いことだ。今年11月に行われた日台戦に12人のMLB、マイナー経験者が参加、そしてNPBから3名参加している。日本の野球規模の大きさ、日本列島の大きさ、台湾の野球規模の大きさと比較すると、海外志向が強い選手が多い。背景としては2つあり、まず1つ目は給料面。台湾の一軍選手の平均年俸は2012年の場合、日本円で約375万円だ。この数字は日本プロ野球の支配下枠である440万より安い。さらに高い給料を求め、MLBに挑戦する。だが現実は厳しく、なかなかMLBに昇格できない。

 2つ目はMLBで活躍するパイオニアの存在。日本ならば野茂英雄、イチローのように台湾ならばMLBで活躍した選手で王建民の名前が挙がる。2006年、2007年に2年連続で19勝をあげ、MLB通算62勝をあげた王は台湾人にとって、日本でいえばイチローのような存在で、取り上げ方も違うという。現在の台湾のスターはNPB通算36勝、MLB通算19勝のチェン・ウェイン(オリオールズ)。そして2年連続でゴールデングラブ賞を獲得し、走攻守三拍子揃った万能型外野手として活躍した陽岱鋼(北海道日本ハム)だ。陽岱鋼は第3回のWBCで台湾代表として参加し、主力選手としてチームを引っ張った。WBCの活躍、日本での活躍により、陽岱鋼と関係ない試合でも陽岱鋼のユニフォームを着るファンがいるほどの人気ぶりだという。

 また台湾メディアは一部のスター選手だけではなく、マイナーの選手まで追いかける。日本で活躍する陽岱鋼だけではなく、兄の陽耀勲(元福岡ソフトバンク)も登板のたびに報道されるほどだ。台湾のファンは好んで、MLBならばJスポーツのようなCSチャンネル。日本野球ならば、パリーグチャンネルなどを見ている。メディアは世界で活躍する選手の存在を大きく伝えるのだから、海外志向の選手、ファンは増えるのは当然だろう。とはいえ、海外志向が強く、国内野球にあまり見向きをしない台湾ファンの存在にCPBLは頭を悩ませていた。また野球賭博の問題があり、観客動員が大きく落ち込んでいたのが近年の台湾野球の現状でもあった。

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