第5回 スジーワ・ウィジャヤナーヤカさんインタビュー後編 【スリランカ野球の今】2013年11月10日
【目次】
[1]野球とつながっていたい
[2]審判員としての誇り
[3]この球場は、南アジアのために
審判員としての誇り

撮影・阿部謙一郎
――2007年に審判の勉強を始めて、審判員として、合格されたのはいつですか?
スジーワ 2008年に大分軟式野球連盟に合格して、大分で少年野球や、草野球の審判を始めました。2008年は、まだ大学生でしたので、大学にいきながら、土日は審判の資格を取るために勉強して、そして2010年に大学を卒業して、就職したんです。福岡県の亀の井ホテルで働き始めました。
その年、東京で開催された世界大学野球選手権、斎藤佑樹選手が出場した大会ですね。その大会にスリランカ代表審判として、国際審判で初めて参加したんですよ。それをきっかけに、周りの方からも声を掛けていただき、2010年から九州の社会人野球連盟、九州六大学野球連盟、福岡高校野球連盟に登録して、本格的に福岡での審判生活がスタートしました。
――2010年の世界大学野球選手権では、球審もやられたんですよね。
スジーワ 球審は韓国対中国の試合ですね。他にも、主審をやった試合でいえば、2011年のAAAアジア選手権でもやりました。決勝戦では、一塁審判としてグラウンドに立ちましたが、スリランカ人でアジア大会で審判をやったのは私だけです。
――審判をされて一番記憶に残っている試合はどの試合でしょうか。
スジーワ やっぱり世界大学選手権大会ですね。日本対韓国で、斎藤佑樹投手が投げた試合。三塁の塁審でした。神宮はスタンドとグラウンドが近いので、応援団の大声援も届いて、そこが面白かったですね。
あとはキューバの試合も面白かったですね。世界一のチームとの試合で審判ができたのは嬉しかったです。やっぱりワクワクしますね。
――審判をやられていて、難しい場面や厳しいジャッジをしなくてはいけない時もあると思います。
スジーワ そうですね。審判は厳しいですよ。基本を守らないと何も出来ない。でも楽しい。一塁、二塁、三塁、どの審判でも守らないといけないポイントがあります。まず、全てプレーに対し、止まって見ること。角度を取ること。ボールの方向は自分の体の方向の正面であること。判定を急がないこと。あとは待ち受けること。その5つを守った上に100パーセント、120パーセント、150パーセントの良いジャッジができると思います。簡単ではないです。でも、しないといけない。
選手は良いプレーをしている。私は5つのポイントを守って、100パーセント、120パーセント、150パーセントのジャッジができるように心がける。それぐらいちゃんとやらないといけません。それが我々の仕事です。それが当たり前ですから。
難しいプレーはもちろん、すべてのプレーに対して、難しいと思わないといけないですよね。ジャッジが簡単と思ったら意味がない。選手が必死に練習して、試合でみせるプレーですから、全国大会でもオープン戦でも練習試合でも、選手と同じ気持ちで、我々もグラウンドに立っています。だから、審判員も、そのために練習をしなければならないと常に考えています。
――それでは、審判をしていてやりがいを感じるのはどういったところでしょうか?
スジーワ 審判として一番嬉しいことは一つのプレーに対して、一つの審判のジャッジメントに対して、見ている皆さんが喜んでもらうことだと思っています。でも、判定間違いで、喜ぶわけがないです。
走っている選手は自分がアウトか、セーフか分かっていると思います。上手くなったら、アウト!セーフ!と自分で言う選手も出てくると思います。それでも、正しく判定するのが審判なのです。一つの判定で、みんなが喜ぶ。そういう気持ちでやらないと。それが、審判員としてのやりがいだと思います。

- 安田 未由(Myu Yasuda)
- ■大学時代には北は北海道から南は沖縄まで、日本各地の高校野球部を50校ちかく取材。在学中に「球児とチームの心の成長」を描いたノンフィクション書籍を3冊出版。その後、株式会社リクルートの企画営業職を経て、高校野球ドットコムの創業期メンバーとして、初代編集長を10年間務めた。
- ■ <書籍>主な寄稿・出版物 ・野球ノートに書いた甲子園 シリーズ全6巻(2013年~2019年/KKベストセラーズ)
- ■ 講演依頼
・スポーツ感動物語 アスリートの原点「遅咲きのヒーロー」(2016年/小学館)
・甲子園だけが高校野球ではないシリーズ(2010年~/監修・岩崎夏海/廣済堂あかつき出版社)
・ただ栄冠のためでなく(2011年/共著/日刊スポーツ出版社)
・「高校野球は空の色」「高校野球が教えてくれたこと」など大学時代に3冊出版
ぜひスジーワ・ウィジャヤナーヤカさんに
決勝戦
審判してもらいたい
そして
スリランカのチームもさんかしてもらいたい
コメントを投稿する