第3回 韓国プロ野球の今 【韓国野球が熱い理由】2013年09月13日
【目次】
[1]特別な存在である李承燁と後を追う大砲
[2]日本キラー・奉重根とイチロー
[3]技巧派として帰ってきた裵英洙
技巧派として帰ってきた裵英洙

4年前、再起を期していた裵英洙選手(三星ライオンズ)
韓国の投手では群を抜く存在であった柳賢振(リュ・ヒョンジン)がドジャースに移籍し、北京五輪で日本を苦しめたSKの金広鉉(キム・グァンヒョン)は不振で、WBCなどで活躍したKIAの尹錫珉(ユン・ソクミン)も開幕前に肩を痛め、本来の投球ができていない。そのため、勝利数、奪三振のランキング上位には、外国人投手が名を連ねている。
そうした中11勝を挙げ、勝利数ランキングで2位になっているのが、サムスンの裵英洙(ペ・ヨンス)である。第1回WBCやアジアシリーズなどでチームのエース格として活躍した裵であるが、2007年に肘の手術を受けた後は、不振が続いた。しかし、本格派から技巧派に転身し、昨年は12勝を挙げ復活した。
2006年に柳賢振がハンファに入団し、ルーキーながら最多勝、防御率、奪三振のタイトルを独占した。すると、柳の決め球であるチェンジアップを、高校野球レベルから競って投げるようになった。
韓国の打者は踏み込んで打つタイプが多いので、一本調子の速球には滅法強いが、緩い球にはかなり弱い。そのため韓国では「アリランボール」と呼ばれる、超スローボールを投げる投手が、注目されている。

李容圭選手(起亜タイガーズ)
かつてはシンカーを決め球にしたアンダースロー投手・鄭大炫(チョン・デヒョン/ロッテ)が、その代表であった。今年は、70キロ台の超スローカーブを投げる斗山の柳熙寛(ユ・ヒグァン)が注目されている。
2009年斗山に入団したものの2年間白星がなく、2年間兵役の一環で軍隊チームの尚武で活動した後、今年から斗山に戻った選手だ。5月4日に初勝利を挙げ、5月下旬から先発ローテーション入りし、現在7勝4敗1セーブ。左腕からの人を食ったような投球術は、かつてヤクルトで活躍した安田猛を彷彿させる。
今人気絶頂の韓国プロ野球であるが、柳賢振、金広鉉以降、生きのいい新人が出ていないのが悩みの種。ただ今年の高校生には、1試合(延長10回)で奪三振26を記録した商苑高校の李受珉(イ・スミン/サムスンが指名)ら注目選手も多いので、今後が注目される。
(成績・データは2013年8月26日現在のもの)
(文=大島 裕史)
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