第1回 盛り上がる韓国のプロ野球 【韓国野球が熱い理由】 2013年07月01日
【目次】
[1]空前のプロ野球人気
[2]韓国プロ野球の中の日本人・在日韓国人/「独立球団」高陽ワンダース
[3]プロ野球選手と兵役
アジアの野球といって、思い浮かぶのはどこの国だろうか。中国・台湾・韓国・モンゴル・タイ・スリランカ・シンガポールなど、実はアジア諸国にて、ベースボールは確実に広がっている。そこで、この『アジア野球』のコンテンツでは、まずは今、最も熱い「韓国野球」を3回シリーズ連載でお届けしていきたい。韓国野球に精通したスポーツライターの大島裕史氏が、韓国野球の事情を一挙紹介!
空前のプロ野球人気
韓国のプロ野球人気は、年々高まり続けている。昨年の総観客数は715万6157人(1試合平均1万3451人)で、2009年以降、観客動員の新記録を更新し続けている。
韓国の球場は、LG、斗山の本拠地であるソウルの蚕室(チャムシル)、SKの本拠地である仁川の文鶴(ムナク)、ロッテの本拠地である釜山の社稷(サジク)が約3万人収容である他は、1万人台の収容規模しかない。そのため、満員札止めの試合も続出している。中でも最近は、以前はほとんど目立たなかった女性ファンが、観客の4割を占めるほど急増している。手作りのボードを掲げて応援する女性ファンの姿を、よく見かけるようになった。また、外国人の観客も増えている。中には、ネクセンの応援リーダーを務め、名物になっている外国人のファンもいる。

蚕室野球場の切符売り場の列。女性の姿も目立つ
今日のプロ野球人気は何と言っても、2008年の北京オリンピックの金メダルと、翌年の第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準優勝による効果が大きい。
韓国では、韓流スターのように、海外で実績を挙げてこそ評価される。日韓共催によるサッカー・ワールドカップが開催され、韓国サッカーがベスト4に進出した2002年、プロ野球の観客動員は、239万4570人(1試合平均4501人)にまで落ち込んだ。2006年の第1回WBCで韓国野球はベスト4に進出したものの、6人もの海外組への依存度が高く、観客増にはつながらなかった。その点、北京オリンピックで海外組は、当時巨人の李承燁(イ・スンヨプ)だけ。第2回WBCでは、当時ヤクルトの林昌勇(イム・チャンヨン)とインディアンスの秋信守(チュ・シンス)だけで、韓国内の選手の実力を強く印象付けたことで、ブームが始まった。
それだけに、第1ラウンドで早々に敗退した、この春の第3回WBCの影響が懸念されていた。実際シーズン開幕当初は、客足は伸びなかった。それでもシーズンが進み、順位争いが激しくなってくると、観客も徐々に戻ってきた。
ここ数年のプロ野球ブームで、チームや選手の固定ファンが増えたうえに、球場をきれいにしたり、ファンサービスに力を入れたりしたことが、成果となって現れている。
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